人材不足が全国的な課題となる中、奈良県では高度外国人材の確保と企業への定着支援に向けた取り組みを着実に進めています。奈良県産業部人材・雇用政策課では、主に在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」に該当する外国人材を対象とし、県内企業と外国人材の接点を生み出す施策を継続して実施しています。
人材確保に主眼を置いた外国人材施策
奈良県の外国人材施策の特徴は、外国人材と県内企業の相互理解・交流機会を創出し、県内企業への就職につなげることを目的としている点です。多くの県内企業では事業を支える人材の確保が課題となっており、外国人材に対する企業ニーズも大きく高まっている状況です。そのため奈良県では、海外人材を含めた高度外国人材とのマッチング機会を創出することを重要な施策として位置付けています。一方で、技能実習や特定技能といった制度は国の制度に依存する部分が大きく、自治体として関与できる範囲は限定的です。そのため、県としては企業で専門職として長く働く可能性の高い在留資格「技術・人文知識・国際業務」を中心に支援事業を展開しています。
ベトナム工科大学とのインターンシップ連携
奈良県の特徴的な取り組みの一つが、ベトナムのホーチミン市工科大学と連携したインターンシップ事業です。理系学生を奈良県内企業で受け入れ、約8週間のインターンシップを実施することで、日本企業の仕事や職場環境を体験してもらう機会を提供しています。この取り組みは前年にも実施されており、次回のインターンシップに向けて現在受入企業の募集が進められています。すでに参加検討中の企業向けに説明会も開催されており、今年6月頃の実施に向けて準備が進められています。
留学生向け就業体験で企業との接点を広げる
国内にいる外国人留学生等を対象とした支援として、「留学生・外国人材のための就業体験」も実施されています。この取り組みでは、県内企業で1~2日程度の職業体験を行い、企業の仕事や職場の雰囲気を理解してもらうことを目的としています。従来は5日以上のインターンシップを想定していましたが、企業と学生双方の負担を考慮し、より参加しやすい短期間のプログラムに見直されました。その結果、留学生からの応募は非常に多く、募集締切前に受付を終了するほどの反響がありました。
企業が外国人材と出会う「きっかけづくり」
奈良県内では、外国人材の採用経験がまだ十分ではない企業も少なくありません。特に海外から学生を受け入れる長期インターンシップでは、受入体制の整備に不安を感じる企業も多い状況です。そのため奈良県では、インターンシップやマッチングイベントを企業にとっての「最初の一歩」と位置付けています。県が実施する事業を通じて外国人材と接する機会を持つことで、企業が外国人雇用に取り組むきっかけをつくることを目指しています。
日本語能力だけにとらわれない採用へ
外国人材の採用においては、日本語能力が課題として挙げられることが少なくありません。しかし、職種によって求められる能力は異なります。営業職などでは高い日本語能力が求められる場合もありますが、理系エンジニアの場合は必ずしも同じではありません。履歴書の日本語能力試験の級だけで判断するのではなく、業務に必要な能力を見極めながら、より広い視点で人材を見ることが重要だと考えられています。奈良県では、インターンシップなどを通じて実際に外国人材と交流することで、企業側の理解が深まることも期待しています。
企業と外国人材の接点を着実に増やす
奈良県ではこのほか、外国人材の採用や定着をテーマとした企業向けセミナーの開催や、日本語教育にかかる県内企業等への費用の補助なども実施しています。これらの支援は高度人材に限らず、特定技能や技能実習の外国人従業員も対象としており、職場や生活の中でのコミュニケーションを支える取り組みとなっています。奈良県の外国人材政策は、企業と外国人材の接点を一つひとつ増やしながら、地域に根ざした人材活用を進めていくことを目指しています。インターンシップやマッチング事業を通じ、県内企業と外国人材が出会う機会を今後も着実に広げていく方針です。







