≪全国自治体≫
外国人材受入れ支援事業
ヒアリングインタビュー

富山県における外国人共生社会の推進
~新体制と今後の展望~

富山県
協力自治体:富山県
富山県 地方創生局 多文化共生推進室
外国人共生社会推進課 課長 本吉様

多文化共生推進室の新設

富山県では、外国人材の活躍促進と多文化共生社会の実現に向け、体制整備を進めています。令和7年4月1日、これまで複数課に分かれていた外国人施策を一本化し、「多文化共生推進室」を新設しました。県内外国人住民の増加、少子高齢化に伴う労働力不足という社会課題を背景に、戦略的かつ横断的に施策を展開していく体制強化が求められていたためです。

富山県内外国人住民の現状

令和7年1月1日現在、富山県に居住する外国人は23,785人に達し、10年前から概ね倍増しています。県人口に占める割合は2.39%と、全国平均(R5:2.74%)には及びませんが、着実に存在感を高めています。出身国別ではベトナム、中国、フィリピン、ブラジル、が上位を占め、特に技能実習生として来県する若年層が目立ちます。富山市、高岡市や射水市を中心に各地へ分布しており、製造業を中心に地域経済を支える重要な戦力となっています。

外国人材活躍・多文化共生推進プランの改訂

現行の「外国人材活躍・多文化共生推進プラン」では、「外国人材活躍」と「多文化共生の推進」の2本柱を軸に、多言語対応の「ワンストップ相談センター」の充実、日本語教育機会の拡充、防災時における外国人向け支援体制の強化などさまざまな施策に取り組んでいますが、社会情勢の変化や課題を踏まえ、プランの見直し作業に着手しました。

日本語教育と災害支援体制の強化

特に日本語学習支援では、地域日本語教室の開設や情報の周知、学齢期の子どもたちへの学校現場でのサポート体制構築が急がれています。さらに、令和6年能登半島地震を受け、災害時における外国人支援の課題も浮き彫りになりました。避難所での情報提供、文化的背景への配慮など、実践的な備えが求められています。

労働分野における外国人支援の拡充

一方、労働分野では、技能実習制度から特定技能制度への移行が進む中、企業に対する支援も強化しています。外国人雇用に関する相談窓口の設置、高度外国人材とのマッチング促進などの「外国人材活用・定着促進事業」、日本語習得や外国人材の地域交流促進、職場環境整備への補助により外国人材の定着と活躍を支える「外国人材定着総合支援事業」が展開されています。企業と外国人本人双方に寄り添う支援が、地域社会の活性化に不可欠です。

「在留外国人との共生社会を実現するための条例(仮称)」制定への取り組み

さらに現在、富山県では外国人住民・日本人住民が共に暮らしやすく、活躍できる共生社会を築きあげ、外国人材に選ばれ、定着される富山県になることを目指し、県、市町村、県民、事業者、関係機関それぞれが役割を着実に実施していくために、「在留外国人との共生社会を実現するための条例(仮称)」制定を検討しています。

未来に向けた富山県の挑戦

今後も富山県では、外国人住民と地域社会が互いに理解を深めながら、共に成長できる環境づくりを推進していきます。多様性を力に変え、だれもが暮らしやすい社会の実現を目指す富山県の取り組みに、引き続き大きな期待が寄せられています。


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