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誰もが“ふらっと立ち寄れる”共生の拠点へ

福島市多文化共生センター「Yuiverse」の取り組み

キーパーソンボイス(支援団体など)8

取材協力

福島市国際交流協会 福島市多文化共生センターYuiverse(ユイバース)

福島市国際交流協会 事務局(福島市出会い移住・多文化共生課 多文化共生推進室内)
〒960-8601 福島市五老内町3番1号
TEL:024-525-3739
https://www.f-ifa.jp/

福島市多文化共生センターYuiverse

〒960-8051 福島市曽根田町1-18
MAXふくしま3階
TEL:080-6400-8599
https://www.f-ifa.jp/?page_id=3948
福島市国際交流協会 福島市多文化共生センターYuiverse(ユイバース)
福島市国際交流協会 福島市多文化共生センターYuiverse(ユイバース)
<今回、取材にご対応いただいたのは>
福福島市 市民・文化スポーツ部 定住交流課 都市間交流係 伊東様
福島市多文化共生センターYuiverse(ユイバース)坪井様

気軽に集える場所から始まる多文化共生

福島市国際交流協会は、地域住民と外国人が相互に理解し合う多文化共生社会の実現を目指し、さまざまな事業を展開しています。その中核となる拠点が、2023年9月にオープンした「福島市多文化共生センターYuiverse(ユイバース)」です。

大型商業施設の一角に設けられたオープンスペースは、国籍や年齢を問わず誰でも自由に利用できます。「リビングルームのような空間」をコンセプトに、飲食や会話、読書、ゲームなど、思い思いの時間を過ごすことができます。

若い世代が自然に交わる“日常の国際交流”

ユイバースの特徴の一つは、日常の延長線上にある国際交流です。放課後には近隣の中高生が立ち寄り、外国人スタッフと英語で会話を楽しんだり、ゲームや勉強をしたりする様子が見られます。現在は1日平均約40人が訪れており、利用者は着実に増加しています。

館内にはフィリピン、ベトナム、バングラデシュ出身のスタッフが常駐し、週に一度はカナダの国際交流員も加わります。このような環境により、来館者は自然と外国人と接する機会を持つことになり、特別なことをしなくても、そこに外国人がいる環境そのものが共生につながっています。

“教える側”にもなる外国人――広がる自己実現の場

ユイバースでは英語講座や料理教室などのイベントを開催してきましたが、最近では外国人自らが企画し、自国の文化を紹介するケースが増えています。

こうした取り組みは、単なる交流にとどまりません。外国人にとっては、自らの文化を発信することで「地域に受け入れられている」という実感を得る場にもなっています。孤立防止という当初の目的に加え、自己実現の機能も担い始めている点が特徴です。

なお、2026年2月には、ベトナムの旧正月をテーマとしたイベントが開催されました。この催しはベトナム出身者だけでなく、多くの市民が参加し、文化を共有しながら交流を深める機会となりました。

地域をつなぐ大規模イベント「結・ゆい・フェスタ2026」

福島市国際交流協会では、年に一度の大規模イベントとして「結・ゆい・フェスタ」を開催しています。2026年は5月2日・3日の2日間、福島駅近くの「まちなか広場」にて開催予定です。

当日は約60団体が参加し、各国のグルメを楽しめるキッチンカーや、多彩なブース、ステージ企画が展開されます。来場者は広場で思い思いに過ごしながら、食や文化を通じて自然に交流を深めていきます。

本イベントは、ユイバースの日常的な交流を、より大きなスケールで体感できる機会でもあります。なお、開催期間中はユイバースを一時休館し、スタッフが一体となってイベント運営にあたる予定です。

見えてきた課題と“やさしい日本語”の重要性

一方で、昨年福島県が実施したアンケート調査では、日本人の約半数が「外国人と交流したことがない」、また外国人の増加に不安を感じていることが明らかになっています。
その背景には、「外国人にどのように話しかければよいかわからない」といった心理的なハードルがあります。

これに対し、協会では外国人向け日本語講座の提供に加え、「やさしい日本語」の普及にも力を入れています。外国人だけでなく、日本人側も歩み寄ることで、双方向の理解を促進していく取り組みです。

就労支援と地域への広がり

ユイバースでは、外国人からの就労相談にも対応しています。履歴書の書き方やビジネスマナー、日本語力の向上支援などを通じて、市内企業への就職を後押ししています。優秀な人材が機会を得られず地域外へ流出することを防ぐ狙いもあります。

また、技能実習制度から育成就労制度への移行という大きな制度変化を見据え、福島市としても、企業が必要とする際にいつでも支援できる体制を整えておくことが重要であるとしています。

具体的には、日本語教育や生活ルールの指導など、現場に応じた支援を柔軟に提供できるよう準備を進めており、企業と外国人双方が安心して働ける環境づくりを後押ししています。

“場”が生み出すこれからの共生モデル

ユイバースの取り組みは、制度や施策だけに頼らない、多文化共生の新しい形を示しています。誰もが気軽に集える「場」をつくることで、交流が日常化し、結果として相互理解が深まっていきます。

福島市国際交流協会は、今後もこうした拠点を軸に、外国人と地域社会をつなぐ取り組みを広げていく方針です。ユイバースは、共生社会の実現に向けた“入口”として、着実にその役割を果たしています。


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