在留資格とは──
外国人雇用の第一歩に欠かせない基礎知識
外国人を雇用する際に、まず理解しておかなければならないのが「在留資格」です。在留資格は、日本に入国・滞在する外国人にとっての“活動許可証”であり、どのような仕事や活動を行ってよいかを定める重要な制度です。企業が適切に外国人を雇用するためには、この在留資格の制度を正しく理解し、労働内容と資格の整合性を確認することが、法令遵守とトラブル防止の第一歩となります。
①在留資格の種類と分類
日本には30種類以上の在留資格が存在しますが、就労が可能なものと、原則として就労が認められていないものに大別されます。
代表的な就労可能な在留資格には、「技術・人文知識・国際業務」「技能実習」「特定技能」「企業内転勤」などがあります。例えば、ITエンジニアや通訳などの専門職は「技術・人文知識・国際業務」、飲食料品製造や介護などの現場作業は「特定技能」、建設などの技術移転を目的とする制度は「技能実習」に該当します。なお、技能実習制度は2027年までに「育成就労制度」への移行が予定されております。
一方、「留学」や「家族滞在」「短期滞在」などの在留資格では、原則として就労は認められていません。ただし、「資格外活動許可」を取得すれば、一定の条件のもとで就労することが可能になります。たとえば、留学生が週28時間以内でアルバイトをするケースがこれにあたります。
②在留カードと確認の重要性
外国人の雇用に際しては、まず在留カードの確認が必要です。在留カードには、在留資格の種類や在留期間、「就労制限の有無」が記載されており、これによって、該当の外国人が日本で働けるかどうかを見極めることができます。
もし、不適切な在留資格で外国人を雇用した場合、不法就労助長罪に問われ、事業者自身が罰則の対象となることもあります。これは決して見過ごせないリスクであり、雇用の際には、在留カードの有効期限と、業務内容が在留資格の範囲内であるかを慎重に確認しなければなりません。

出典:出入国在留管理庁
③在留資格と活動内容の整合性
重要な点は、与えられた在留資格と実際の就労内容が合致していることです。たとえば、「技術・人文知識・国際業務」の資格を持つ外国人が、単純作業である工場のライン作業に従事することは、制度上許されていません。仮にこうしたミスマッチがあった場合、入国管理局によって不許可や資格取り消しの対象となる可能性があります。
また、在留資格の範囲を逸脱した業務を行わせた場合、たとえ外国人本人の同意があっても、雇用主が法的責任を問われることがあります。企業の社会的信用にも関わるため、常に「活動内容と在留資格の整合性」を意識して採用・配属を進めることが求められます。
④特定技能という新たな選択肢
近年、注目を集めているのが「特定技能」という在留資格です。これは、深刻な人手不足に対応するために2019年に創設された制度で、介護、外食、建設など16分野において外国人の就労が認められています。特定技能1号では、最大5年間の在留が可能であり、家族の帯同は原則不可ですが、条件を満たして「特定技能2号」に移行すれば、配偶者や子どもの帯同も認められます。
特定技能では、即戦力としての就労が前提となっているため、労働条件は日本人と同等であることが求められ、待遇面での差別は禁止されています。受け入れ企業は適切な雇用環境と支援体制を整える必要があり、自社の業種や人材ニーズに合った在留資格の選定が、安定した外国人雇用の鍵となります。
⑤在留資格の更新と管理体制の整備
在留資格には有効期限があり、多くの場合、1年・3年・5年などの更新制となっています。更新には、本人の在留状況や勤務状況に加え、雇用主の対応も重要な審査要素になります。就労状況が変わった場合(職種変更や転職など)は、「資格変更」や「変更届出」が必要になるケースもあり、放置すれば資格失効のリスクが伴います。
企業としては、外国人社員の在留資格と期限をリスト化し、更新のタイミングや注意点を共有できる管理体制を整えておくことが大切です。人事部門だけでなく、現場の上司や管理職も最低限の知識を持ち、チームでサポートすることが、安定的な雇用につながります。
おわりに
在留資格の理解は、外国人雇用における最初の一歩であり、同時に最も重要なポイントです。「この人は日本で働けるのか」「どのような業務なら問題ないのか」を正確に把握していなければ、知らず知らずのうちに法律違反を犯す可能性があります。国籍や文化の違いを越えて、信頼できる関係を築くためには、まず制度を正しく理解すること。在留資格の知識は、外国人雇用の土台となる“共通言語”と言っても過言ではありません。
執筆 行政書士・外国人雇用管理主任者 久保和大